ハンガリーのオルバン首相は6日、国内に生産拠点を持つドイツの大手自動車メー
カーと工場を閉鎖しないことで合意したことを明らかにした。同国では2026年に総
選挙が予定されており、同首相は低迷する経済の立て直しを急いでいる。
欧州の自動車メーカーは需要減少や生産コストの上昇、中国メーカーとの競争激
化、電気自動車(EV)市場の停滞などが響き、工場閉鎖や大規模な人員削減などを
相次いで発表している。
オルバン首相は国営ラジオのインタビューで、企業名を伏せつつ、「我々はドイツ
の進出企業と合意している。彼らは工場を閉鎖しないのみならず、発展もさせてい
くだろう」と明言。「ハンガリーの事業環境はドイツと比べて有利であり、こちら
で事業を継続する可能性が高い」と述べるとともに、工場閉鎖を防ぐために競争力
のある経済環境を創出する必要があると付け加えた。
自動車産業への依存度が高いハンガリー経済はドイツ、中国、韓国からの投資が抜
きんでており、BMW、メルセデス・ベンツ、アウディの独自動車大手3社はそろって
完成車工場を構えている。BMWは、同国東部のデブレツェンに建設中の工場で来年
から完全電気自動車(BEV)専用プラットフォームを採用した次世代の主力モデル
「ノイエ・クラッセ」を生産する予定。メルセデス・ベンツは中部ケチケメートの
工場を電動車の生産拠点に転換中だ。アウディは北西部のジュール工場で自社ブラ
ンドのモデルと電気モーターに加え、スペイン兄弟会社セアトのモデルも生産して
いる。