高級乗用車大手の独BMWは12日、工場から販売店に引き渡すディーゼル車に給油する
燃料をこれまでの軽油から二酸化炭素(CO2)排出量が少ない代替燃料 「HVO100」に
改めると発表した。電気自動車(BEV)の販売拡大だけでなく、温室効果ガスの排出
削減に役立つあらゆる手段を活用する「テクノロジー・オープンネス」戦略に基づく
措置。ドイツ国内の工場で生産する全てのモデルを対象に来年1月から開始する。
HVOは水素化植物油を意味する「hydrotreated vegetable oil」の略。使用済みの食
用油など再生可能な廃棄物を処理して製造する。HVO100は水素化植物油100%の純粋
なHVOで、CO2排出量を軽油に比べ最大90%削減できる(「ウェル・トゥ・ホイール」
ベース)。冷間時のエンジン始動性が高く微生物の増殖も起こりにくいという強みも
ある。
HVO100給油の対象となるのは独ミュンヘン、ディンゴルフィング、レーゲンスブル
ク、ライプチヒの計4工場で生産するディーゼル車。BMWグループのディーゼル車生産
に占めるこれら工場の割合は計50%を超える。モデルに応じて同燃料を5〜8リットル
給油して販売店に引き渡す。フィンランド企業ネステ(Neste)が手がけるHVO100
「ネステMYリニューアブル・ディーゼル」を使用する。
BMWはガソリン車についても気候負荷の少ない燃料を投入したい考え。ただ、現時点
では欧州連合(EU)の燃料品質指令(FQD)でバイオエタノール混合比率が最大10%
に制限されていることから、同社は上限を速やかに引き上げるよう要求した。