トルコの自動車大手トファシュ(Tofas)は9日、従業員数を11月比で13%減らす計
画を発表した。10月以来、減員した分を含めるとその規模は15%に上るとみられて
いる。削減数には定年・自主退職者も含まれる。トファシュは法で定められた退職
金を支給するため3億3,000万リラ(900万米ドル)を支出する。
解雇通告でトファシュは人員削減の理由として、◇2022年11月の自動車特別消費税
の改定で国内メーカーの優遇措置が撤廃された◇(中国などからの)輸入車との競
争激化◇国外からの受注キャンセル◇欧州経済の低迷◇アフリカ・中東市場の政情
悪化◇フィアットの小型商用車(LCV)「ドブロ」および「フィオリーノ」の受託
生産終了——などを挙げた。
ニュース放送局ブルームバーグHTの9月報道によると、トファシュは単シフト制に
移行した。トファシュのブルサ工場の年産能力は乗用車が21万8,000台、LCVが23万
2,000台で、合計45万台。2017年に引き上げた水準のままだ。
一方で年産実績は17年に38万4,174台を記録した後、減少を続け、23年には23万
9,428台まで落ち込んだ。今年1-9月期はさらに、前年同期比34%減の11万5,087台
に縮小。通期では13万5,000〜14万5,000台を計画している。
トファシュは1968年、財閥系のコチ・ホールディングと伊フィアットの合弁会社と
して操業を開始した。2012年にフィアットと米クライスラーが合併してフィアッ
ト・クライスラーとなり、さらに21年に同社が仏PSAと合併してステランティスと
なった。しかし、ステランティスの再編がうまくいかず、今月1日にはカルロス・
タバレス最高経営責任者(CEO)が任期途中で退任している。
ステランティスは22年、トファシュに委託していたドブロの生産を23年末にスペイ
ンへ移管することを決定。23年にはトルコ販社ステランティス・オトモティフ・パ
ザルラマを、トファシュに4億ユーロで売却することで同社と合意した。ただ、競
争当局は市場におけるトファシュの地位が強くなりすぎることを懸念し、未だ許可
に至っていない。
トルコ販社の売却に当たってステランティスは、25年末までトファシュでフィアッ
トの乗用車「ティーポ(エーゲ)」の生産を継続することを決めた。また、「K0」
と呼ばれるプラットフォームを用いたモデルについてもトファシュへ生産を委託す
ることになった。ステランティスのブランドのLCVおよびステーションワゴンが対
象だ。
先月、トファシュはこれらのモデルの生産を正式に受注した。32年までに合計100
万台を製造することを目指す。現地の自動車ジャーナリストであるエムレ・オズペ
イニルチ氏によると、オペル「ザフィーラ」(ボクスホール「ビバロ」と同型)、
フィアット「スクード」、プジョー「エキスパート」、シトロエン「ジャンピー」
のエンジン車とハイブリッド車の生産に入っており、来年は9万台、26年は15万台
を出荷する計画だ。ただ、ティーポの受託生産契約が来年末で切れることを踏まえ
ると、新規受注が獲得できなければ、工場稼働率は3分の1と低い。