バイオ医薬品の独キュアヴァクは経営資源を研究分野に絞り込む意向だ。同社は伝令
RNA(mRNA)ベースの新型コロナウイルス用ワクチン開発が不調に終わり、経営が悪
化。同ワクチンの開発に成功し短期間で大手企業にのし上がった競合の独ビオンテッ
クに大きく水をあけられている。研究に特化することで経営の立て直しを図る。アレ
クサンダー・ツェーンダー社長は「これはキュアバックを強くするものだ。すなわち
研究とイノベーション、早期臨床開発は」と述べた。dpa通信が6日、報じた。
キュアヴァクはmRNAをベースとする新型コロナワクチン開発の有力企業と目されてい
た。だが、米ファイザーと組んだビオンテックが同ワクチンの開発にいち早く成功し
急成長を遂げたのに対し、キュアヴァクの開発は成果が思わしくなく、2021年秋に承
認申請の撤回。24年7月にはインフルエンザと新型コロナウイルス感染症を対象とす
るmRNAワクチンの開発、生産、世界販売権を英GSKに全面譲渡することを取り決め
た。事業分野を絞り込むとともに、資金を確保する狙いがあった。
同取引の規模は最大14億5,000万ユーロで、すでに前払金4億ユーロを取得。24年第3
四半期にはコロナ禍後初の黒字を計上した。300人規模の人員削減を行ったこともあ
り、28年までの資金繰りを確保している。
今後はガンと非呼吸器系疾患の治療薬開発に取り組む意向だ。ツェーンダー氏は
「mRNA技術を例えば細菌感染症に用いたい。また、再発性尿路疾患もテーマだ」と述
べた。すでに様々な製薬会社と協業協議を進めている。