米ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)はチェコの老舗レコード会社
スプラフォン(Supraphon)を買収した。クラシックをはじめ様々な音楽ジャンル
の膨大な権利を持つ同社を傘下に収め、成長が続くチェコ市場の需要を取り込む。
取引額は非公表。中東欧経済紙『Mittel & Osteuropa Aktuell』が23日付で報じ
た。
『プラハ・デイリーニュース』によると、同国の2023年の録音音楽市場規模は
8,410万ドルに達した。中核はストリーミングサービスで、売上高は前年比18.1%
増の5,050万ドルとなり、市場全体の60.1%を占めた。
スプラフォンは1932年の設立。戦前から国内の音楽業界で大きな役割を果たしてき
た。同社のチーフプロデューサーのマトゥイ・ヴルチンスキー氏はSMEによる買収
について、より強力な経済的、技術的支援を受けられるようになると指摘。「これ
までは優雅なヨットで(音楽業界を)航海してきたが、これからはより大きく安定
した船で海を渡ることになる。これが経済界の荒波を乗り切る助けとなることを
願っている」としてメリットを強調した。
スプラフォンからレコードをリリースしているチェコ・フィルハーモニー管弦楽団
のデビッド・マレチェク総監督は、「SMEはチェコのクラシック音楽の灯を決して
絶やさないだろう」とコメント。SMEがソニーを母体とすることを踏まえ「チェコ
の音楽は日本人にとり非常に重要なものだ。一層の宣伝と幅広い支援を期待した
い」と述べた。