ドイツ東部のツヴィッカウにある自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の工場で行
われた事業所委員会(従業員代表機関)選挙で、極右政党「ドイツのための選択肢
(AfD)」系のグループが当選者数を前回選挙の2人から倍増させたことが、経済紙
『ハンデルスブラット』の24日付の報道で分かった。選出された委員の大半はこれ
まで同様、金属労組IGメタル系のグループが占めたものの、極右の影響力は企業レ
ベルでもじりじりと強まっているもようだ。
ツヴィッカウ工場は電気自動車(BEV)専門の生産施設。従業員数は約9,000人で、
事業所委員の定員は37人に上る。IGメタル・ツヴィッカウ支部のプレスリリースに
よると、同労組系のグループは得票率が88.5%となり、33人が当選した。
だが、残る4人はAfD系のグループ「自由な事業所委員の同盟」から選出された。従
業員の間で支持が広がっている。
ツヴィッカウのあるザクセン州で昨年9月に実施された州議会選挙では、AfDの得票
率が3.1ポイント増の30.6%に拡大した。最大政党キリスト教民主同盟(CDU)との
差はほとんどない。ザクセンを含む東部州ではAfDの支持率が総じて高い。
事業所委員会は企業ないしその事業所で働く従業員を代表する機関で、被用者の選
挙で委員が選出される。社外の機関である労働組合と異なり、あくまでも企業の内
部機関である。経営陣との交渉などで労組と共同歩調を取る。労組は影響力を確保
するため、選挙を通して組合員を事業所委員会に送り込む。