欧州委員会は13日、EU域内を鉄道でスムーズに移動できるようにするための規則案を発表した。域内の国境を越えた鉄道の利用に際して、旅客が出発地から目的地までの全旅程のチケットを一括して購入できるようにすることが柱となる。
「ワン・チケット、ワン・ジャーニー」と称する同規則は、旅客が異なる事業者の鉄道を乗り継ぐ場合も1枚のチケットを購入・予約すればEU域内を旅行できるようにするのが目的。
これを可能にするため、各加盟国の鉄道旅客輸送市場で50%以上のシェアを持つ鉄道運行会社はチケット販売・予約のウェブサイトで、ライバル企業のサービスの情報も表示し、これらの企業が要請した場合は同社のチケットを販売することを求められる。
これは仏国鉄のSNCF、ドイツ鉄道といった各国の鉄道大手に適用される。対象事業者は、鉄道チケット販売のプラットフォームを運営する全事業者にチケットを扱うことも認めなければならない。
これによって旅客は1つのプラットフォームで料金などを比較し、簡単に全旅程のチケットを購入できるようになる。
EUのデータによると、2024年の域内の越境移動で鉄道を利用した人は約1億5,000万人で、航空機利用者の約4億人を大きく下回っている。複数の鉄道事業者から個別にチケットを購入する必要があることが鉄道利用の大きな障害となっていることから、欧州委は空の旅と同じように予約・購入できる体制を構築する。
欧州委は同時に、鉄道の旅客にも航空旅客と同等の権利を与えることを提案。1枚のチケットを購入した旅客が、鉄道会社の事情で運行が遅延し、乗り継ぎできなかった場合などに無償でルートを変更したり、払い戻しを受けることができるようにする。宿泊を余儀なくされる場合は食事、宿泊の提供を受ける。
欧州委は新規則について関連法案をまとめ、EU加盟国と欧州議会に提出する。加盟国と欧州議会の承認を得る必要があるが、欧州の鉄道サービス事業者の業界団体である欧州鉄道事業者共同体(CER)は「ルフトハンザにライバルのライアンエアの航空券販売を義務付けるようなもの」「多額を投資して整備したチケット予約プラットフォームが他社にタダ乗りされる」(マッツォーラ事務局長)などとして猛反発しており、正式決定まで曲折が予想される。
