独自動車大手のダイムラーは5月27日、インド南東部のチェンナイに建設していたバス工場を稼働させた。国内バス市場の拡大を見込むほか、輸出向けにも生産する。
ダイムラーはチェンナイ工場ですでに、トラックやエンジン、バス用シャーシを生産している。バス事業の強化に向けチェンナイ工場に5,000万ユーロを投資した。
バス工場の面積は約11万3,000平方メートルで、現在の生産能力は年1,500台。従業員数は約300人となる予定。需要拡大に応じて年4,000台まで拡大できる。
ダイムラーはインドでは、「バラット・ベンツ」と「メルセデス・ベンツ」の2ブランドを展開する戦略。「バラット・ベンツ」からはインドの量産モデル市場向けにフロントエンジンバスを販売する。当該バスは主に、スクールバスや従業員輸送用、観光バスなどに需要がある。これに対し、「メルセデス・ベンツ」ブランドからは長距離バスなどに使用されるリアエンジン型の高級モデルを販売する方針。チェンナイ工場では将来、「メルセデス・ベンツ」ブランドのバスも生産する計画。
■ インド子会社が15年秋にバスの販売開始
インド子会社のダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークルズ(DICV)は2015年秋にフロントおよびリアエンジン型バスの販売を開始する計画。総重量9トンおよび16トン超のモデルとなり、2016年には16トンモデルが加わる予定。
ダイムラーはインドでは8トン超のバスの市場規模が2020年までに2倍以上に拡大すると予想している。
ダイムラーはインドで2012年9月から新ブランド「バラット・ベンツ」のトラックを販売している。販売は好調で、これまでの累計販売は2万台を超えている。バスの市場投入により、インドの商用車事業をさらに強化する。
■ 大型トラックを披露、輸出事業強化
ダイムラーは27日、大型トラック「バラット・ベンツ 3143」を披露した。同モデルは昨年秋にドイツのハノーバーで開催されたIAA商用車見本市で世界初披露している。総重量は48トンで鉱山や建設現場での使用に適している。
チェンナイ工場では2013年5月からふそうブランドのトラックを生産しており、アジア、アフリカ、南米諸国に輸出している。今年は中東諸国にも輸出を開始するほか、南米の輸出先(国)をさらに増やす計画だ。
チェンナイ工場で生産するバスおよび「バラット・ベンツ 3143」は輸出向けにも生産する。