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2016/3/25

総合 – 自動車産業ニュース

ドイツの政産学連携プロジェクトNPE、車載電池セル国内生産のロードマップ発表

この記事の要約

ドイツ政府が電気駆動車(エレクトロモビリティ)の普及に向けて2010年5月に発足させた政産学連携プロジェクト「国家プラットフォーム・エレクトロモビリティー(NPE)」は3月17日、自動車用バッテリーセルの国内生産の可能性 […]

ドイツ政府が電気駆動車(エレクトロモビリティ)の普及に向けて2010年5月に発足させた政産学連携プロジェクト「国家プラットフォーム・エレクトロモビリティー(NPE)」は3月17日、自動車用バッテリーセルの国内生産の可能性について分析した結果をまとめたロードマップを発表した。NPEはエレクトロモビリティのメーカーとして主導的な地位を堅持するためには、バッテリーセルは重要な要素となるとの想定のもと、エレクトロモビリティの市場規模拡大などいくつかの条件を挙げたうえで、2025年までに年13GWhの生産能力を段階的に構築することを勧告している。

NPEは、現行世代のリチウムイオン電池については、日本と韓国のメーカーが優位な立場にあり、世界のセル生産能力は過剰な状況であることから、ドイツ国内での生産は経済的に現実的ではないと指摘する一方、エレクトロモビリティの市場規模が拡大し、セルの需要が大幅に増えた場合には、世界的にセルを増産する必要が生じるため、ドイツでも持続的なセル工場の運営が可能になり、国外メーカーへの依存度を低減することができると分析している。

■ 次世代セル、2025年までに年13GWhの生産能力構築を勧告

具体的には、2020年頃からの次世代バッテリーセルの生産には大きな経済的な潜在性があると見ており、ドイツの自動車部品メーカーに市場参入のチャンスがあるとの見解を示している。2025年までに段階的に年13GWhのセルおよびバッテリーの統合的な生産能力を構築することを勧告しており、この規模であればセル生産のノウハウを確保するとともに、工場では最大1,300人、周辺事業で最大3,000人の雇用を創出できると試算している。さらに、投資は約13億ユーロ、生産設備の償却には最大10年かかると試算しており、このような環境に耐えられる資本力が必要になると指摘している。

また、国内でのセル生産の条件としては、世界的なエレクトロモビリティの市場規模の拡大、技術的な発展、エネルギーコストや人件費、物流コストなど良好な立地条件などを挙げている。

NPEの代表者であるヘニング・カーガーマン氏はロードマップの発表に際し、「車載電池は電動車両の付加価値の30~40%を占める中核部品であり、パフォーマンスやコストなど電気自動車の重要な特徴を決定づけることから、間接的にユーザーのエレクトロモビリティの受容度にも影響する」と述べ、バッテリーセルは制御装置やソフトウエア、冷却装置とならびバッテリーシステムの重要な部品であるとの見解を示している。

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