独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)のマティアス・ミュラー社長は4月28日の2015年通期の決算報告会見で、今年半ばにも将来戦略「戦略2025」について発表する見通しを明らかにした。同戦略では、デジタル化、ネットワーク化、電気駆動車(エレクトロモビリティ)、新しいモビリティサービスなど、自動車業界が直面する将来の大きなテーマに取り組んでいるという。
エレクトロモビリティの分野では、2020年までに20以上のモデルを新たに市場投入する計画。現在、エレクトロモビリティに特化したプラットフォーム(MEB)の開発を進めており、MEBをベースにした最初のモデルは年内にも発表できる見通し。
また、今後は、提携や戦略的な資本参加を積極化していく方針も明らかにした。
■ 15年通期決算、大幅な赤字転落
同日発表したVWグループの2015年通期の売上高は前年比5.4%増の2,133億ユーロとなった。モデル構成の改善や為替相場、金融サービ事業などが増収に寄与したという。2015年の出荷台数は2.0%減の約990万台だった。
特別項目を除いた営業利益は前年並みの128億ユーロ、売上高利益率は6.0%だった。しかし、ディーゼル車に搭載した不正ソフトウエアの問題で総額162億ユーロの特別引当が生じ、利益を大きく押し下げた。2015年の特別損失は総額で169億ユーロとなり、営業利益は2014年の127億ユーロの黒字から41億ユーロの赤字に転落した。特別損失計上後の売上高利益率はマイナス1.9%(2014年:6.3%)となった。