独高級車大手BMWのイアン・ロバートソン取締役(販売・マーケティング担当)は独経済紙『ハンデルスブラット』(4月15日付)に対し、英国が2016年6月に予定する欧州連合(EU)残留・脱退の是非を問う国民投票について語った。BMWはドイツ企業の中でもBrexit(英国の脱EU)を巡る議論に積極的に参加しており、英国の従業員に宛てた書簡の中でも、EU残留を支持する姿勢を明示した。
ロバートソン取締役は書簡について、投票における従業員の判断に影響を及ぼすつもりはないが、我々は英国工場で生産する車両の大部分を欧州あるいは世界に出荷しており、英国がEUを離脱した場合、貿易に影響が出ることは明らかだ、と説明した。関税のバリアはコスト上昇を招き、ジャストインタイム生産においても、部品供給が滞れば障害となる、と指摘する。
このような問題は貿易協定を結べば対応できるとの考えがあることに対しては、EUからの離脱は理性的な決定のみにとどまらず、感情面に影響を及ぼす可能性がある、との考えを示し、感情面での影響は双方向に(英国民だけでなく、他国にも)影響がある、と指摘した。
ロバートソン取締役はこのほか、英国では現在、世界30カ国の従業員が勤務している点に言及し、英国出身の従業員だけでなく、他の出身国の従業員にも配慮しなければならない、と説明した。その中にはスペシャリストも多く、英国がEUを離脱した場合、そのようなスペシャリストを英国の呼び寄せることが難しくなるかもしれない、との懸念を表明した。