独高級車大手のBMWは7月29日発表した「イノベーション・ディ2016」のプレス資料の中で電気駆動システムの内製化や生産工程などについて明らかにした。
BMWは電気駆動システム「eドライブ」を自ら開発・生産することにより、エレクトロ・モビリティにおいてもBMWグループの各ブランドに特有の運転体験を顧客に提供することを目指している。競合他社と差別化するため、特に「ダイナミック性」「効率」「快適性」に重点を置き、BMWモデルに特徴的なスポーツ性や洗練された走行性能の実現に取り組んでいる。
BMWは高電圧バッテリーにも高級車の高い品質水準を求めており、例えば、長距離走行やバッテリー容量が低下した状況でも安定した走行性能の維持を求めている。また、BMWの高電圧バッテリーは極めて気温が低い状況では性能が低下するものの、気温がバッテリー性能に与える影響は競合他社に比べると小さいとしている。バッテリーの寿命も長く、顧客への保証期間は8年としている。
■ バッテリーセルも自ら研究
BMWはリチウムイオン電池のバッテリーセルを外部から調達しているが、電池化学やセル生産の詳細について理解することは、競争力を維持する上で現在の内燃エンジンに関するノウハウと同じくらい重要であるとの考えを示している。社内にバッテリーセルに関する判断力を確保するため、バッテリーセルの研究を社内で行うとともに、国際的な研究ネットワークを活用し、マテリアル開発も含めたバッテリー技術に関わる全体的なバリューチェーンを構築していく。
■ 「eドライブ」、独ディンゴルフィング工場で生産
BMWは電気駆動システム「eドライブ」をドイツのディンゴルフィング工場で生産している。生産設備が整う上、特別な訓練を受けた従業員も養成しており、同工場はBMWグループの「eドライブ」技術の中核を担うコンピテンスセンターに位置付けられる。
同工場では、高電圧電池や電気モーターに加え、パワーエレクトロニクスや他の駆動・車台部品も生産している。
BMWはこれまで、ディンゴルフィング工場においてエレクトロ・モビリティ分野に総額1億ユーロ以上を投資してきた。プラグインハイブリッド車向けの部品生産では、従業員数を現在の約100人から中期的に200人以上に増員することを計画している。