独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は8日、排ガス基準「ユーロ1」~「ユーロ4」に対応した古いディーゼル車を廃車にし、VWブランドの新車に買い替える顧客に対し、2017年12月31日までの時限措置として、最大1万ユーロの奨励金を提供すると発表した。廃車にするディーゼル車のブランドは問わない。VWは、「ユーロ5」および「ユーロ6」の基準を満たしたディーゼル車についてはすでに、排ガス制御ソフトを無償で改修(アップデート)し、排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を平均で25~30%削減する対応策を発表している。
VWの奨励金は、連邦政府、州政府、自動車メーカー、業界団体などが参加して8月2日にベルリンで行われたディーゼル乗用車の排ガスに含まれる有害物質の削減対策に関する会議を受けた措置。自動車メーカーは奨励金により、「ユーロ5」より前の規制に対応した古いディーゼル車から、最新の排ガス装置を搭載した車両や電気駆動車への買い替えを促すことでも合意した。政府は、国外メーカーにも同様の措置を実施するよう要請しており、これまでにBMW、フォード、トヨタなどが奨励金の提供を開始すると発表している。
メディア報道によると、ダイムラーは、メルセデスベンツのプラグインハイブリッドや「ユーロ6」に対応したディーゼル車などに最大2,000ユーロの奨励金を出す。傘下の超小型車ブランドであるスマートの電気自動車では奨励金を1,000ユーロに設定した。
■ 「eゴルフ」では1万1,760万ユーロの奨励金
VWの奨励金はモデルによって異なり、例えば、小型車「アップ(up!)」は2,000ユーロ、大型SUV「トゥアレグ」では1万ユーロとなっている。また、電気自動車、ハイブリッド車、天然ガス車の購入者にはさらに1,000~2,380ユーロのボーナスを提供する。
電気駆動車を購入する場合は、ドイツ政府と自動車業界が共同で2016年7月初めから実施している購入補助金制度も利用することができる。このため、VWの電気自動車「eゴルフ」を購入する場合は、VWが提供するモデル別の奨励金5,000ユーロと電気自動車のボーナス2,380ユーロ、政府支援の購入補助金4,380ユーロにより、計1万1,760万ユーロの奨励金を得ることになる。
VW傘下のアウディ、セアト、商用車部門VWヌッツファールツォイゲも8日、古いディーゼル車から環境負荷の低いモデルに買い替える顧客に対し、奨励金を提供すると発表した。