中古ダンプトラックを電気駆動に改造

スイスで中古のダンプトラックを電気駆動に改造するプロジェクトが進行している。スイスのセメントメーカーCiments Vigierが委託したもので、リチウムイオン電池の販売業者Lithium Storage(スイス)とオーストリアのクーングループ傘下にあるスイスの建機販売業者Kuhn Schweizが参加している。この電動ダンプトラックは2018年春にCiments Vigierに納車される予定。

改造中のダンプトラックは、コマツの「HD605-7」(車両重量:45トン、積載量:65トン)で、ディーゼルエンジンを出力700キロワットの電気モーターに、ブレーキ装置や荷台の傾斜などに使用する油圧ポンプは200キロワットの電気モーターに置き換える。

ディーゼル燃料のタンクの替わりには、中国のリチウムイオン電池メーカーShenzen Westartが製造するニッケル・コバルト・マンガンの三元系(NCM)リチウムイオン電池計4個を搭載する(電池1個あたり16スタック(1スタック=24セル))。

Ciments Vigierでは、ダンプトラックが採石場とセメント工場を1日あたり20回往復している。採石場からセメント工場へは下り坂、セメント工場から採石場へは上り坂で、下り坂で発生するブレーキエネルギーを電気エネルギー(回生エネルギー)として回収する仕組みを活用する。回生エネルギーが採石場への上り坂で必要なエネルギーを上回るため、試算では、1日あたり200kwhの余剰電力があり、電力網に供給することも可能という。

同プロジェクトでは、2017年9~10月に部品を「HD605-7」に組み込み、最初の試験走行を実施する計画。11月には後部の荷台を装備し、さらに厳しい条件下で試験した後、2018年春にCiments Vigierに納車する予定。

電動ダンプトラックのプロトタイプの開発費用は300万フラン。プロジェクトに参加する3社が資金を負担するほか、スイス連邦エネルギー庁(BFE)が資金支援している。

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