欧州連合(EU)の欧州委員会は9月27日、欧州の大手トラックメーカーによるカルテルにスウェーデンのスカニアが関与していたとして、同社に約8億8,000万ユーロの制裁金支払いを命じたと発表した。これによって対象となる全社の処分が決定。制裁の総額は過去最高の約38億ユーロに達した。
欧州委は2011年、ドイツのMAN、ダイムラー、ボルボ/ルノー(スウェーデン/仏)、伊イベコ、オランダのDAF、スカニアの6社・グループが1997年から2011年にかけて、販売価格を取り決めていたほか、EUの環境規制に対応した排ガス処理システムの導入時期と、同システムのコストを顧客に転嫁することを申し合わせていた疑いがあるとして、関係各社に立ち入り調査を実施。スカニアを除く企業はカルテルへの関与を認め、調査に協力したため、欧州委は調査段階でカルテルへの関与を認めて調査に協力すれば制裁額を10%減額する和解制度を適用し、16年7月に総額29億2,650万ユーロの制裁を科した。それでもカルテルが14年間と長期にわたったことから、制裁額は当時の最高額だったブラウン管カルテルの14億7,000万ユーロを上回った。
各社の制裁額はダイムラーが約10億877万ユーロ、DAFが約7億5,268万ユーロ、ボルボ/ルノーが約6億7,045万ユーロ、イベコが約4億9,461万ユーロ。MANは最初に通報したため、制裁金を全額免除された。
スカニアは唯一、カルテル関与を否定し、和解に応じなかったため、制裁額が決まっていなかった。欧州委は同社がカルテルに積極的に参加したと認定し、ダイムラーに次ぐ巨額の制裁を科した。同カルテルの制裁はすでに過去最大だったが、スカニアの分が加算され、さらに膨らんだ。
スカニアは同日発表した声明で、カルテルへの関与を否定。欧州委の決定内容を精査した上で、EU司法裁判所に提訴する構えを示した。