独自動車部品業界、ハードブレグジットで1万4000人雇用喪失も=デロイト調査

大手会計コンサルティング会社のデロイトはこのほど、英国の欧州連合(EU)離脱について、同国がEU単一市場と関税同盟から外れて世界貿易機関(WTO)のルールに従うことになる「EU強硬離脱(ハードブレグジット)」になった場合、ドイツの自動車部品業界では1万4,000人の職場が失われる恐れがあるとの調査結果を発表した。ハードブレグジットによるWTOの関税適用や継続的なポンド安により、英国の自動車販売および生産台数は減少すると予想している。

ドイツの自動車部品メーカーは、英国の自動車工場に部品を供給するほか、英国に輸出される車両を製造するドイツや他のEU諸国の工場にも部品を供給している。デロイトによると、ドイツの自動車部品メーカーは、英国で製造されている自動車に組み込まれている部品の18%を供給している。また、ドイツの自動車部品大手の約30社が英国で現地生産している。

デロイトによると、ドイツの自動車部品メーカーにおける4万2,500人の雇用が直接・間接的に英国の自動車産業に依存している。内訳は、英国工場への部品供給が1万5,700人、ドイツおよび他のEU諸国にある自動車工場が生産する英国市場向け自動車への部品供給が2万6,800人となっている。また、ドイツの自動車部品メーカーの英国における自動車生産および英国の自動車市場での2016年の売上高は169億ユーロだった。

デロイトによると、ハードブレグジットになった場合、すなわち、英国とEU間で特別な貿易協定や移行措置がない場合、ドイツや他のEU諸国で生産した自動車の英国市場における価格は約21%上昇し、また、英国車のEU市場における価格は13%上昇する見通し。価格上昇の影響で、ドイツおよび他のEU諸国における英国市場向けの生産は約65万台減少し、英国における自動車生産は12万台減少し、合計で77万台が減少すると予想している。

また、英国がEUを離脱する予定の2019年におけるドイツの自動車部品メーカーの英国市場関連の売上高は、英国がEUを離脱しなかったと想定した場合の164億ユーロに比べて23%(38億ユーロ)少ない、126億ユーロに縮小すると予想している。これはドイツの自動車部品メーカーの総売上高(2016年:760億ユーロ)の約5%の減少に相当する。

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