欧州連合(EU)の欧州委員会は16日、産業ガス大手の独リンデと米プラクスエアの合併計画について、本格的な調査を開始したと発表した。両社の合併によって産業ガス市場の寡占が強まり、価格上昇などを招く恐れがあると判断した。
産業ガスでリンデは世界2位、プラクスエアは同3位。両社は2017年6月、合併で最終合意していた。誕生する新会社は売上高が約287億ドルに達し、仏エア・リキードを抜いて世界最大手に躍り出る。
欧州委は初期調査の結果、世界で産業ガスを量産できる企業はリンデ、プラクスエアを含めて4社にとどまっており、これが両社の合併で3社体制になると寡占が強まって値上がりする可能性があるほか、顧客企業の調達の選択肢が狭まると判断。特に医療、製鉄など幅広い分野で利用される酸素ガス、MRI(核磁気共鳴画像法)装置の超伝導磁石の冷却に不可欠となるヘリウムガスで大きな競争上の問題があるとして、本格的な調査を進めることを決めた。
欧州委は7月4日を期限に詳細な調査を実施し、合併の可否を最終判断する。リンデとラクスエアは承認を取り付けるため、一部の事業・資産の売却を迫られる可能性がある。