英エンジニアリング大手GKNに買収を提案している同国の投資会社メルローズ・インダストリーズは12日、買収額を引き上げたと発表した。しかし、GKNは同日、なお条件を不満とし、拒否を表明。メルローズが敵対的な株式公開買い付け(TOB)を実施することになった。
GKNは自動車、航空機用部品の製造を主力とする企業。メルローズは1月、同社に1株当たり4.16ポンドでの買収を提案したが、GKNは価値を過小評価しているとして拒否していた。
新たな提案は、GKNの株主は1株につき現金0.81ポンドと、買収実現後にメルローズの株式を1.69株受け取るという内容だ。現金支払い額は変わらないが、株式交換部分が当初の1.49株から増え、1株当たりの買い取り価格は4.67ポンドに拡大。全株式を取得した場合の買収額は、当初の提案を約10%上回る81億ポンドに膨らむ。
GKNは最初の買収提案を拒否した際、株主の支持を取り付けるため、収益改善策として自動車部品と航空宇宙事業を分離する意向を表明。9日に自動車部品事業を米同業デーナと統合すると発表していた。
GKNは同統合の効果を考慮すると、同社の価値は1株当たり5.03ポンドとなり、メルローズの提示額を上回るなどとして、改めて買収を拒否した。これに対してメルローズは、今回が最終提案として、一方的にTOBを実施する方針を打ち出した。GKN株主は3月29日までに買収に応じるかどうかを決めることになる。