独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は、電気駆動車(エレクトロモビリティ)用の電池セルを内製化する戦略を検討しているもようだ。同社の広報担当者が独経済誌『ヴィルツシャフツボッヘ』に対し、「自社生産から、合弁会社の設立、企業買収まであらゆるオプションを検討している」と明らかにした。VWは現在、アジアのメーカーから電池セルを調達している。
4月に退任したマティアス・ミュラー前社長は、バッテリーセルの自社生産に否定的な姿勢を示していた。一方、ヘルベルト・ディース新社長は、VWブランド担当取締役であった頃から、「ドイツにバッテリー工場は必要」との前向きな見解を示していた。
また、VWの大株主である独ニーダーザクセン州のベルント・アルトゥスマン経済相は『ヴィルツシャフツボッヘ』誌に対し、「バッテリーセル生産へのアクセスはドイツ産業の競争力の重要な前提条件の一つだ。ニーダーザクセン州は研究拠点だけでなく、生産拠点にもなるべきだ」との見解を示している。
■ テスラ、欧州に電池セル工場の建設を計画
『ヴィルツシャフツボッヘ』誌によると、米電気自動車メーカーのテスラモーターズのイーロン・マスク社長も欧州に電池セル工場を建設する計画を検討しているもようだ。現在、欧州連合(EU)の欧州委員会のほか、オランダとポーランドの政府関係者と交渉中であるという。マスク社長は2015年に、ドイツのジグマール・ガブリエル連邦経済相(当時)と面談し、欧州での電池工場建設への関心を伝えていたが、実現に至らなかった経緯がある。