旭化成(東京都千代田区)はこのほど、ドイツのデュッセルドルフに拠点を置く欧州統括会社の旭化成ヨーロッパが同国ノルトライン・ヴェストファーレン州のヘルテンにある水素関連技術開発拠点「h2herten」で、風力発電エネルギーを活用してアルカリ水から水素を生成するアルカリ水電解システム(「グリーン水素」)の実証試験プロジェクトを開始したと発表した。4月27日にヘルテンでオープニングセレモニーを行った。
旭化成は、食塩水を電気分解する食塩電解システムの主要サプライヤーであり、同技術をベースにして、天候などによって発電量に波のある再生可能エネルギーなどに適したアルカリ水電解システムを開発した。同技術は、エネルギー転換効率が高く、10メガワット(MW)までの大型化ができる。
旭化成は日本ではすでに、独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の技術開発支援を受けて、神奈川県横浜市で10MW級の大型アルカリ水電解システムを想定した長時間の水素製造実証プロジェクトに成功している。
『オートモビルボッヘ』紙によると、ヘルテンのアルカリ水電解システムは差し当たり、生産能力を140kWとし、1年間の稼働を計画している。その後、ヘルテンを欧州におけるアルカリ水電解システムの組立て・保守の拠点とする可能性があり、長期的には、大型アルカリ水電解システムプラントの建設も視野に入れている。また、「h2herten」では8月末に公共の水素供給ステーションを開設する予定。
旭化成ヨーロッパは2017年11月に、二酸化炭素(CO2)の回収・利用・貯蔵に関する欧州の共同プロジェクト「ALIGN‐CCUS」への参加を発表しており、今回は同社にとって再生可能エネルギーを活用して水素を製造する「グリーン水素」関連プロジェクトの第2弾となる。