中国によるドイツ企業への資本参加、「中国製造 2025」の影響も=ベルテルスマン財団調査

ベルテルスマン財団はこのほど、中国によるドイツ企業への出資に関する調査結果を発表した。2014~2017年における出資比率が10%以上の資本参加175件を調査した。その結果、112件(全体の64%)は、自動車やバイオ医療、ロボット工学など、中国政府が2015年に発表した国家産業戦略「中国製造 2025」で同国が2025年までに世界で主導的な地位の確保を目指す10分野における資本参加であることが分かった。

中国政府が注力する10分野に入る112件のうち、最も多かったのは「省エネ・新エネルギー車」(112件のうち21%)で、「電力設備」(19%)、「バイオ医療・高度医療機器」(15%)での出資も多かった。特に「バイオ医療・高度医療機器」は、「中国製造 2025」の発表後に18件と大幅に増えた。

なお、国営企業による資本参加は175件のうち18%にとどまっている。ただ、10分野の112件に占める割合は約22%に高まった。

また、地域別では、バーデン・ヴュルテンベルク州(23%)、ノルトライン・ヴェストファーレン州(20%)、バイエルン州(16%)が多く、3州で全体の59%を占めた。

ベルテルスマン財団の経済専門家であるコラ・ユングブルート氏は中国のドイツ企業への投資について、「現在は、技術が買い尽くされることへの不安が大きいが、国外直接投資はドイツに資本をもたらし、雇用も創出する」との見解を示す。ただ、「ドイツと欧州連合(EU)はいずれも中国の産業政策戦略に対する対抗策を持っていない」とも指摘しており、中国のような強大な経済国に対し、ドイツとEUは声を合わせて対等な関係を構築すべきであると提言している。

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