30年までに再生エネ利用比率32%に、欧州議会と加盟国が妥協案で合意

欧州議会、欧州連合(EU)加盟国、欧州委員会の3者は14日、再生可能エネルギーの利用比率を2030年までにEU全体で32%に引き上げるとの目標を盛り込んだ指令案の内容で基本合意した。加盟国は30年の達成目標を27%とする案を支持していたのに対し、欧州議会は35%まで引き上げるよう求めていた経緯があり、23年に目標を上方修正するかどうか改めて協議する。欧州議会と閣僚理事会の正式な承認を得て新指令が採択され、加盟国はその後18カ月以内に国内法を整備する必要がある。

EUは地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定に基づき、30年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で40%削減するとの目標を掲げている。再生可能エネルギーの利用促進を目的とする新指令も目標達成に向けたもので、欧州委が16年末に原案を提示していた。

加盟国はEU全体の再生可能エネルギー比率の目標に基づき、それぞれ30年を達成期限とする国別の数値目標を設定する必要がある。ただし、特定の条件下で目標から最大10%の逸脱が容認される。

指令案にはこのほか◇30年までに運輸部門におけるエネルギー消費の14%を再生可能エネルギーで賄う◇サトウキビやトウモロコシなどの栽培作物を原料とする第1世代バイオ燃料の利用を20年時点の水準に制限し、道路や鉄道輸送におけるエネルギー消費の7%以下にとどめる◇食糧と競合しない廃棄物、木や草などのバイオマスを原料とした先進型バイオ燃料の利用比率を25年に少なくとも1%、30年に3.5%まで引き上げる――などが盛り込まれている。

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