ボルボが米国向けSUV生産を中国から欧州に移管、米の対中関税に対応

スウェーデンの自動車大手ボルボ・カーは19日、米国市場に輸出している多目的スポーツ車(SUV)「XC60」の生産拠点を中国から欧州に移管する方針を明らかにした。中国による知的財産権侵害を問題として米国が今月初めに発動した制裁関税の影響を回避するための措置。ただ、トランプ政権は欧州車に対しても追加関税を課すと警告しており、さらに販売戦略の見直しを迫られる可能性もある。

米国向けSUVの生産移管は、ボルボのホーカン・サムエルソン社長がロイター通信とのインタビューで明らかにした。ボルボは現在、スウェーデン工場で欧州向け、中国工場で国内と米国など他地域向けにXC60を生産している。サムエルソン氏は米国による追加関税の影響を避けるため、今後は「欧州から米国に輸出し、中国では米国以外の地域向けに生産する」と述べた。

ボルボは2010年に中国自動車大手の浙江吉利控股集団の傘下に入ったのを機に、生産設備の近代化や製品ラインアップの見直しを進めた結果、4年連続で売上高が過去最高を更新するなど、このところ業績が上向いている。しかし米中間の対立が激化する中、吉利の李書福会長は先月、香港紙とのインタビューで、追加関税が発動された場合、販売価格に転嫁する可能性があると発言。貿易戦争の影響を最小限に抑えるため、今後は欧州、米国、中国でそれぞれ現地生産体制を強化する方針を示していた。

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