パナソニック、欧州本社を英からオランダに移転

パナソニックは英国にある欧州本社をオランダのアムステルダムに移転する方針だ。英国の欧州連合(EU)離脱に備えたもので、10月に実施する。金融機関を中心とした英国離れが製造業にも広がってきた。

同社の欧州本社移転は、ローラン・アバディ常務執行役員(欧州統括会社パナソニック・ヨーロッパの最高経営責任者)が8月29日、日本の一部メディアに明らかにしたもの。本社の広報が英BBCなどの問い合わせに対して、事実であることを認めた。

アバディ氏によると、英政府はEU離脱後に企業誘致のため法人税の引き下げを計画しているが、これが実現すると日本政府から同国が租税回避地(タックスヘイブン)とみなされ、企業が追徴課税される恐れがある。このほか、英国とEU加盟国の間のヒト、モノの自由な移動が離脱後に制限される可能性があることも考慮し、欧州本社をアムステルダムに移転することを決めた。

英のEU離脱をめぐっては、これまで金融機関が同国から拠点を移す動きが相次いでいた。金融・証券会社などがEU加盟国のうち1カ国で認可を取得すれば、域内全域で活動することができる「パスポート制度」に基づく事業展開が不可能となるためで、日本企業では野村ホールディングス、大和証券グループ本社、三井住友フィナンシャルグループ、みずほ証券などが欧州拠点をロンドンから他の加盟国に移転する方針を打ち出している。

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