欧州委員会は7日、独高級車大手のダイムラーとBMWがカーシェアリングなどの移動サービス事業を統合する計画を条件付きで承認したと発表した。両社はドイツとオーストリアの6都市におけるカーシェアリング事業で公正な競争を維持するため、スマートフォンやタブレット型端末向けのアプリケーションソフトを競合他社が利用できるようにすることなどが求められる。
ダイムラーとBMWは今年3月、カーシェアやライドシェア、アプリを利用した配車サービス、駐車場探しから予約・決済までを一手に引き受ける仲介サービス、電気自動車(EV)の充電サービスなど幅広い移動サービス事業を統合することで合意した。成長分野のモビリティ事業で米ウーバーテクノロジーズなどIT系の新勢力に対抗するのが狙いで、競争当局の承認後に折半出資の新会社を設立する方針を打ち出している。両社は9月17日付で欧州委に事業統合計画を届け出た。
欧州委はこれまでの調査から、ダイムラーとBMWの事業統合を認めた場合、ベルリン、ケルン、デュッセルドルフ、ハンブルク、ミュンヘンとウィーンのカーシェアリング市場で寡占化が進み、とりわけ特定地域内であればどこでも車の貸出しと返却ができるフリーフローティング型のカーシェアリング事業でライバルが市場から閉め出される恐れがあると指摘。両社に計画の見直しを求めていた。
ダイムラーとBMWは欧州委の懸念に対応するため、問題となった6都市で展開するカーシェアリングサービスの基盤となるソフトウエアの機能を外部のプログラムから呼び出して利用するためのAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)と、両社のカーシェアリングや配車サービスの情報をまとめて表示するダイムラーのモバイルアプリ「ムーベル」を競合する事業者に公開する改善策を提示した。欧州委はこれらの措置により、競争上の懸念は払しょくされたとして、6都市でのAPIとアプリの公開を条件に移動サービス事業の統合計画を認可した。