ドイツの自動車大手ダイムラーと自動車部大手のボッシュは8日、米カリフォルニア州のサンノゼで2019年下半期に、米国自動車技術会(SAE)の定義でレベル4/5の自動運転車を使用したアプリベースのライドヘイリング(相乗り)サービスのパイロットプロジェクトを開始すると発表した。メルセデスベンツ「Sクラス」を投入し、サンノゼ中心部とウェスト・サンノゼを結ぶ主要道路で一部の顧客にサービスを提供する予定。
サンノゼは、人口100万人超のカリフォルニア州で3番目の大都市。今後20年以内に人口が40%増加すると予測されている。
ダイムラーの自動運転分野を統括するミヒャエル・ハフナー氏はパイロットプロジェクトの実施について、「将来のモビリティサービスのユーザーに完全自動運転車を提供するための重要な知見を得る」と述べ、その意義を強調する。また、ボッシュの自動運転向け技術を統括するステファン・ヘンレ氏は、「我々は都市交通を考え直す必要がある。自動運転は将来の都市交通を描くための重要なパズルのピースだ」との見解を示している。
ダイムラーとボッシュは、ドライバーを必要としない完全自動運転車(SAEレベル4/5)の開発協力により、都市部における交通の流れの円滑化や道路交通の安全性向上に寄与したい考え。また、同技術の実用化により、カーシェアリングサービスの魅力が増すとともに、乗車中の時間の有効利用や、運転免許証を持たない人に新たな移動機会を提供できるなどの新しい可能性が広がると期待している。
■ ダイムラーとボッシュ、ドイツと米国で共同作業
ダイムラーとボッシュは、ドイツのシュツットガルト大都市圏と米国のサンノゼとサンフランシスコの間にあるシリコンバレーのサニーベール周辺の2地域で共同作業を実施している。両地域とも、同じオフィス内で両社の社員が机を並べて作業する方法を取ることで、両社の迅速な情報交換や素早い決定を可能にした。
両社は、ドライバーを必要としない完全自動運転システム(SAEレベル4/5)のコンセプトおよびアルゴリズムの共同開発を提携の目標としている。
ダイムラーは、運転システムや開発車両、試験設備・施設などの提供で協力。ボッシュは、センサーやアクチュエーター、制御装置などの部品開発や試験設備・施設などの提供で協力する。