独自動車・産業用フィルター大手のマン・ウント・フンメル(M+H)は3月28日、有機レドックス・フロー電池を研究開発する独CM Blu Energyと定置用電池の開発・量産で協力すると発表した。再生可能エネルギーの蓄電や産業分野における電力供給、電動車向け充電インフラなどででの使用を想定している。CM Blu Energyの研究開発は、プロトタイプを製造できる段階に達している。マン・ウント・フンメルとの長期的な提携により、電池開発をさらに進め、量産化する計画。
実務は、マン・ウント・フンメルのスピンオフ会社で革新的技術の開発・市場投入をサポートするi2M(innovation-to-market)が行う。マン・ウント・フンメルは次のステップとして、欧州に生産ラインを設ける計画。CM Blu Energyは今後2年間に、一部の顧客とパイロットプロジェクトを実施する。2021年から最初の商用システムを販売することを計画している。
CM Blu Energyが開発したレドックス・フロー電池は、植物性原料のリグニンを基盤にしており、有機電解液用タンク2個とスタック1個で構成される。セルを積み重ねたスタックにリグニンを使用した溶液をポンプ循環させて充放電する仕組み。スタックの数を増やしてバッテリー容量を拡大することができるため、さまざまな用途に合わせて大きさを変更することができる。
リグニンは紙やパルプの製造過程で副生成物として年数百万トンも発生するが、これまでのところ代替用途が十分に確保されておらず、焼却処分されている。
事業アイデアは2011年にすでにあり、CM Blu Energy は2014年からリグニン由来の電解質を使用したレドックス・フロー電池の研究開発してきた。リグニン由来の電解質を使用したレドックス・フロー電池では、ほぼすべての部品を現地調達することができ、部材を輸入に頼る必要がない。また、希少金属や重金属を使用しておらず、電解液によりシステムが燃えたり爆発したりする恐れがないため、稼働時の安全性も優れている。