独研究所、シミュレーション用の新しい人体モデル開発

ドイツのフラウンホーファー・高速動力学・エルンスト・マッハ研究所(EMI)は、衝突事故のシミュレーションに使用する人体モデルについて、筋肉のこわばりに重点を置いた研究を実施した。有限要素(FE:finite element)シミュレーションにより、筋肉のこわばりが乗員の動きや負傷の程度に及ぼす影響を調べた。

自動車の乗員は事故の際に、直観的に身を守ろうとして、筋肉を緊張させる、ハンドルを支えにする、ブレーキを思いきり踏む、といった行動に及ぶ可能性がある。フラウンホーファー研究所によると、従来のシミュレーション用人体モデルでは、筋肉の収縮には配慮していたが、筋肉の収縮によって発生するこわばりは考慮されていなかった。例えば、乗員が事故の直前にハンドルで体を支えようとした場合、筋肉が収縮するだけでなく、筋肉にこわばりが生じる。

研究チームは、筋肉のこわばり状態を4段階に分け、正面衝突においてどのような違いが起こるかを調べた。この結果、筋肉のこわばりが乗員の動きに影響し、負傷状態が異なるとの結果を得た。

研究チームは、今回の研究成果を人体モデルの今後の開発に反映させていく方針。例えば、自動運転では、車内空間の利用方法が異なってくるため、シートベルトやエアバッグなどの既存コンセプトを見直す必要が出てくる。その際、新しい人間モデルが役立つ可能性があるとしている。

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