英政府、夏休み前のEU離脱目指す

英首相府の報道官は14日、英議会が夏休みに入る前の欧州連合(EU)離脱を目指し、関連法案を6月3日の週に英議会に提出する方針を示した。ただ、EUと合意した離脱案は、与野党協議が17日に決裂し、議会で承認される見通しは立っておらず、離脱をめぐる情勢はなお不透明だ。

英国のEU離脱には、離脱条件を定めた離脱協定案と、離脱協定の発効に必要となる離脱関連法が議会で承認される必要がある。報道官は声明で、6月3日の週に関連法案を提出し、承認されれば「英議会が夏休みに入る前のEU離脱が可能になる」と述べた。英議会は通常、7月後半から夏休みになるため、それまでの離脱を目指すことになる。

英政府とEUは2018年11月に離脱協定案で合意。英国は議会の批准を経て、3月29日に離脱する予定だった。しかし、英下院が3度にわたって協定案を否決したことから、離脱期限を10月31日まで延期することでEUと4月に合意した。これにより、英国は5月23~26日に実施される欧州議会選挙に参加せざるを得ない状況に追い込まれた。

離脱協定案をめぐっては、承認のメドが立たない状況を打開するため、4月3日から与野党の協議で妥協案を探ってきた。

しかし、関税同盟残留などEUとできる限り緊密な関係を維持することを主張する野党・労働党と、強硬離脱派が影響力を持つ与党・保守党との溝が深く、協議が難航。労働党のコービン党首は17日、「重要な政策で双方の溝を埋めることができない」として、協議の打ち切りをメイ首相に通告した。

メイ首相が辞任時期を6月に表明することが決まり、メイ政権がレームダック化(死に体化)して交渉能力を失い、仮に合意したとしても次期政権に覆される恐れがあることも打ち切りの理由に挙げた。

労働党は協議再開を拒否し、離脱案をめぐる4度目の採決でも反対に回る意向を表明しており、離脱の行く末はさらに混沌としてきた。

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