英鉄鋼大手のブリティッシュ・スチールが5月22日に経営破綻した。経営環境が悪化する中、政府が追加支援を拒否し、資金繰りに行き詰まったためで、管財人の法的管理下に置かれた。
ブリティッシュ・スチールは、英投資会社グレイブル・キャピタルがインド鉄鋼大手タタ・スチールの欧州条鋼事業を買収して発足した国内2位の鉄鋼企業。17年には黒字だったが、その後に経営難に陥り、厳しい状況が続いていた。
同社は先ごろ、EUの排出権取引制度に関連する負担を軽減するため、政府から1億2,000万ポンドの融資を受けたばかり。受注減は英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる混迷の影響もあると主張し、3,000万ポンドの追加融資を要請していたが、政府が違法な支援に当たるとして拒否したことから破綻に追い込まれた。
ブリティッシュ・スチールの従業員は約5,000人。破綻によって取引先も含めて2万5,000人の雇用が危機に直面する。管財人は同社の存続に向けて、売却先を探す手続きに着手した。