独自動車大手BMWグループは5日、ハラルド・クリューガー社長(53)が任期を延長しない意向をノルベルト・ライトホーファー監査役会会長に伝えたと発表した。同社はこれを受け、7月18日に予定する監査役会で次期社長について協議する。メディア報道によると、次期社長には、オリバー・ツィプセ生産担当取締役(55)、クラウス・フレーリッヒ開発担当取締役(59)が候補に挙がっているもよう。
クリューガー社長の任期は2020年5月まであるが、メディア報道では、社長交代はそれよりも早く、今秋のフランクフルターモーターショー(IAA)には新社長が舞台に立つとの見方が強い。
BMWには、トップクラスの幹部は60歳で自主退任する暗黙のルールがある。クリューガー社長は年齢的に2期目も務めることができたが、同社長は今回の発表に際し、「BMWグループは27年以上に渡り私の職業上の故郷だ。10年以上、取締役を務め、このうち4年以上はBMWグループの社長だった。新しい方向へ舵を切り、多岐にわたる国際的な経験を新しい課題やプロジェクトに生かしていきたい」と語っている。
クリューガー氏は、2015年5月13日にライトホーファー氏の後任としてBMWグループの社長に就いた。メディア報道では、ライトホーファー氏もクリューガー社長も生産担当取締役を務めた経歴があることから、ツィプセ氏が次期社長の有力候補と見られている。また、フレーリッヒ取締役は、BMWグループが電動化を加速し、自動運転などの新技術分野で他社との協力体制を構築している最中のため、60歳となっても開発担当取締役にとどまるのではないかと見られている。
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クリューガー社長、他社との協力体制を強化
クリューガー社長は、経営戦略「ナンバーワン・ネクスト」を通して、従来の自動車産業から持続可能なモビリティへの転換への対応を進めたほか、同社にとって最大規模の新モデル攻勢により販売台数の拡大に尽力した。同時に、電動化戦略を推し進め、当初は2025年を目標としていた電動車のラインアップを拡充する計画を2年前倒しで2023年までに実施すると発表した。また、カーシェアリングなどのモビリティーサービスではダイムラーと提携し、自動運転分野では、米半導体大手インテルやイスラエルのモービルアイとの協力体制を構築した。