スウェーデンの鉄鋼大手SSABと国営の鉄鉱石採掘企業LKAB、エネルギー大手バッテンフォールの3社は13日、化石燃料フリーの水素還元製鉄計画「ハイブリット(HYBRIT)」について、実現に向けた提言書を発表した。3社は鉄鋼生産の常識を覆す当該計画を前進させるための準備はできているとした上で、達成のためには以下(1)~(4)の前提条件があるとしている。
(1)再生可能エネルギーなど、化石燃料を必要としない電力の大規模確保。ハイブリット計画では現在の国内電力消費量の10%に当たる電力を確保する必要がある。
(2)公的部門による積極的な関与。水素還元製鉄のように画期的な技術の導入には大きなリスクが伴う。欧州連合(EU)レベルの資金援助も求める。
3)EU排出量取引制度(EU-ETS)を踏まえた効果的なCO2削減への努力。
4)ハイブリット計画の大幅な遅延や停止を防ぐため、事前に十分なテスト環境を確保する。ケーブル敷設や送電網整備などには多大な時間がかかるため、政府主導による施策が望まれる。
3社は同計画について、当初より3年遅い2025年の実現を見込むとともに、35年までに商用化にこぎつけたいとしている。