英が屋内娯楽施設の営業再開延期、感染拡大で再び行動制限

英国のジョンソン首相は7月31日、国内で新型コロナウイルスの感染が増加傾向にあることから、イングランドで8月1日に予定されていた屋内娯楽施設の営業再開を少なくとも2週間延期すると発表した。一方、マンチェスターなどイングランド北部の20の地域では、1日から再び住民に対する移動制限を強化し、知人宅への訪問や、家族以外との外出を禁止する。

英国では5月から段階的に規制緩和を進めており、イングランドでは7月4日からレストランやバー、ホテルなどの営業再開が認められ、経済活動が本格化した。今月1日からはボウリング場やカジノ、スケートリンクなどが再開されるほか、最大30人までの結婚式やイベントなども認められる予定だった。

一方、イングランド北部で再導入される規制により、マンチェスター、ヨークシャー、ランカシャーなど20地域の約400万人の住民が影響を受ける。家族と教会やパブなどに行くことは認められるが、友人や知人の家を訪問するなど、家族以外との交流は事実上、禁止される。

ハンコック保健相は地元メディアとのインタビューで「新型コロナの最大の問題は、人生を豊かにしてくれる社会的な接触で増殖することだ」と発言。感染再拡大を抑えるため、必要なあらゆる措置を講じなければならないと強調した。

英政府はこれに先立ち7月26日から、スペインからの入国者に対する検疫を強化し、14日間の自己隔離を義務付けた。バルセロナを州都とするスペイン北部カタルーニャ州を中心に、新型コロナの感染者が急増していることを受けた措置。今月1日からはルクセンブルクからの入国者にも自己隔離を課しており、近隣諸国の感染状況に応じてさらに対象国が増える可能性がある。

英国からスペインの渡航は7月上旬に解禁されたばかりで、隔離措置の再導入には混乱も広がった。25日からスペインで休暇中のシャップス英運輸相も帰国後は隔離が必要となる。

スペインは英国から年間1,800万人の観光客を受け入れており、今回の措置でスペインの観光業は深刻な打撃を受ける。サンチェス首相は「英国の措置は間違いだ」と強く反発。カタルーニャ州以外の観光地は英国より感染者が少ないなどと反論した。ただ、フランスやドイツも国民にカタルーニャ州などへの渡航自粛を呼びかけている。

スペインでは7月29日までの1週間に新規感染者が1日平均2,000人を超えた。首都マドリードでは飲食店の夜間営業が制限されるなど、経済活動に影響が出ている。

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