独自動車大手のダイムラーは2日、商用車子会社のダイムラー・トラックと中国の提携先である大手商用車メーカー北汽福田汽車(Beiqi Foton Motor)がメルセデスベンツのトレーラートラックを現地生産すると発表した。合弁会社、北京福田ダイムラー・オートモーティブ(BFDA)が中国の上級セグメント向けに中国市場の顧客ニーズに合わせた大型トラックを生産する。
BFDAは、北京の懐柔区にBFDAのトラック工場を新に建設し、2年後に生産を開始する計画。工場の取得や生産設備の導入、インフラ整備などに4億8,500万ユーロ超を投資する。また、生産開始までに現地のサプライヤーチェーンも構築する。
ダイムラー・トラックのマルティン・ダウム社長は今回の計画について、「世界最大のトラック市場である中国は我々にとって重要な意味を持ち、将来の成長において最も重要な市場の一つだ」とコメントした。
また、ダイムラーのフーベルトゥス・トロスカ取締役(中国事業担当)は、「中国のトラック市場、特に長距離輸送の分野は転換期にある。電子商取引(eコマース)と物流市場の成長は我々にとって大きな可能性を秘めている」と述べ、今後の中国市場の成長に期待感を示している。
ダイムラーによると、中国の大型トラックの市場規模は2019年に110万台だった。中国は、2020年の世界のトラック販売の半数以上を占める見通し。
ダイムラーは中国では現在、2本柱の戦略をとっている。1つ目の柱は、メルセデスベンツブランドのトラックの輸入販売で、特に、コンクリートポンプ車のような特殊用途向けの車両が大部分を占めている。2つ目は、BFDAが「欧曼(Auman)」ブランドで生産・販売するトラックで、価格に敏感な市場セグメントをターゲットにしている。
今回決定したメルセデスベンツの大型トラックの現地生産により、現地のラインアップを拡充し、中国における顧客層を拡大する。なお、独業界紙『オートモビルボッヘ』によると、特殊車両は今後も輸入販売を継続する見通し。