独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)・グループは3日、供給網(サプライチェーン)の持続可能性リスクの分析に人工知能(AI)を活用したパイロットプロジェクトを実施していると発表した。2020年10月からグループブランドのポルシェ、アウディ、フォルクスワーゲン(VW)の3ブランドで実施している。AIの活用により、環境汚染、人権侵害、汚職など持続可能性に関するリスクを早期に認識し、改善に取り組むとともに、透明性を確保する。
当該システムは、オーストリアの新興企業プレウェーブ(Prewave)が開発したアルゴリズムを基盤とする。150カ国以上における公共のメディアやソーシャルネットワークを対象に、サプライヤーに関するニュースや情報を50以上の言語で分析する。5,000語を超えるキーワードを設定し、4,000を超えるサプライヤーをモニタリングしている。
持続可能性に関するリスクが確認された場合、各ブランドに知らせる仕組み。これを受け、調達部門が事実関係を確認し、取引先に改善を求めるなどの対策を取る。
VWグループはこのようなモニタリングシステムの導入により、直接取引のあるビジネスパートナーだけでなく、間接的に関係のある事業者も含め供給網(サプライチェーン)における透明性の確保を目指している。
AIの活用により膨大なデータの迅速な分析が可能になる。リスクを早期に認識できるため、従来のように当局などからの指摘を受けて事後対応するのではなく、事前に改善策を取ることができる。