独自動車大手ダイムラーの商用車子会社のダイムラー・トラックとスウェーデンの商用車大手ボルボ・グループは4月29日、燃料電池システムの開発・生産・販売を事業とする合弁会社セルセントリックの戦略を発表した。両社は同合弁を通して、長距離トラックおよび他の用途向けの燃料電池システムで世界市場を主導するメーカーを目指しており、2025年の生産開始を予定している。
セルセントリックは現在、量産に向けた計画を策定しており、2022年に生産拠点を発表する予定。現在は、ドイツのエスリンゲン(シュツットガルト近郊)の新拠点で、量産前の生産(プレシリーズ生産)の準備を進めているほか、現在進行中のプロトタイプの生産規模を拡大している。
ダイムラー・トラックとボルボ・グループは、顧客の協力による燃料電池トラックの実用試験の実施までに約3年を見込んでおり、燃料電池トラックの量産化は2020年代の後半を計画している。
なお、ダイムラー・トラックとボルボ・グループは、燃料電池システムの開発・生産・販売では協力するものの、車両技術や燃料電池の車両への組み込みなど、他の事業分野においては引き続き、競合企業にとどまるとしている。
ダイムラー・トラックとボルボ・グループは2021年3月1日にセルセントリックを設立した。合弁会社の出資比率はそれぞれ50%。ボルボ・グループは、ダイムラー傘下の燃料電池事業会社ダイムラー・トラック・フューエルセルの資本の50%を約6億ユーロで取得しており、ダイムラー・トラック・フューエルセルの社名をセルセントリックに変更した。セルセントリックでは現在、ナーベルン、シュツットガルト(以上、ドイツ)、バーナビー(カナダ)の3拠点に300人を超える専門家を抱えている。