米自動車大手のフォードは21日、独物流大手のヘルメスと共同で自動運転車を活用した宅配業務のパイロットプロジェクトをロンドンで実施すると発表した。フォードのデリバリバン「トランジット」をベースにした研究車両を使用して、市内の一般世帯に小包を配送する業務で2週間の実証試験を行う。
当該プロジェクトでは、近隣の複数の配達物が詰め込まれたキャリーバックを配達員が自動運転車から受取り、徒歩で各世帯に配達するシステムを試験する。
自動運転の配送車両が安全に駐車すると、ヘルメスが開発したアプリを使って、配達員がスマートフォンで車内に設置されたロッカーを開錠し、キャリーバックを取り出して徒歩で配達する仕組み。その際、車載モニターや音声機能により配達員をサポートする。
今回のプロジェクトでは、ドライバーが乗車していない自動運転車に他の交通参加者がどのように反応するかなども試験する。なお、欧州の現在の法律では、ドライバーが自動運転車に乗車していなければならないため、ドライバーは乗車しているが、外部からはドライバーが見えないような仕組みとなっている。
フォードは2025年までの10年間に約70億米ドルを自動運転技術の開発に投資する計画で、このうち50億米ドルは2021年以降に投資する。
フォードは自動運転車の開発にあたり、技術面だけでなく、自動運転車を配達事業者の事業モデルにどのように活用することができるかも重視している。