新型コロナウイルスワクチンの供給の遅れを巡り、欧州連合(EU)が英製薬大手アストラゼネカを提訴していた問題で、欧州委員会は3日、同社と和解が成立したと発表した。
アストラゼネカは和解に基づき、9月末までに6000万回分、12月末までに7500万回分、2022年3月末までに6500万回分のワクチンをEUに納入する。これにより、20年8月に締結した事前購入契約で確保した計3億回分のワクチンが供給されることになる。
アストラゼネカは当初、21年6月末までに3億回分を供給することになっていた。しかし、同社は3月、生産体制を理由に期日までに3分の1しか供給できないと発表。欧州委はこれを受け、4月に同社を契約違反でベルギーの裁判所に提訴した。
欧州委はアストラゼネカが英国への供給を優先したことで、EUへの供給が予定を大きく下回ったなどと主張。これに対し、アストラゼネカは事前購入契約が定める供給予定量はあくまでも努力義務であり、契約違反にはあたらないと反論していた。ベルギーのブリュッセル第一審裁判所は6月、アストラゼネカに対し9月下旬までに累計8,020万回分をEUに納入するよう命じる中間判決を出し、両者はこれに沿って新たな供給スケジュールについて協議を進めていた。