シェルが米パーミアン盆地の資産を売却、コノコに95億ドルで

英・オランダ系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルは9月20日、米国最大の油田地帯であるパーミアン盆地で保有する資産を米同業コノコフィリップスに売却することで合意したと発表した。脱炭素化戦略に沿ったもので、売却額は95億ドルに上る。

テキサス州とニューメキシコ州にまたがるパーミアン盆地は、シェールオイル、ガスが豊富な油田。米国内の産油量の40%を産出している。シェルは約9億1,000万平方メートルに及ぶ地域で権益を持つ。

シェルは日量17万5,000バレル(石油換算)を生産する油田やパイプラインなどの資産をコノコフィリップスに売却する。年内の取引完了を見込む。

シェルは欧州で進む脱石油依存の流れに沿って、2月に事業活動に関係するあらゆる温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロとする事業戦略を発表。石油の生産量を30年にかけて年1~2%のペースで減産し、温室効果ガス排出量を排出原単位(エネルギー1単位当たりのCO2排出量)で23年までに16年比で6%以上、30年までに20%以上、35年までに45%以上削減するとの目標を打ち出した。

しかし、オランダ・ハーグの地方裁判所は5月、温効ガス削減に向けた取り組みが不十分として、同社に対して30年までに二酸化炭素(CO2)排出量を19年比で45%削減するよう命じる判決を言い渡したため、脱炭素化の取り組み強化を求める圧力が強まっていた。

シェルは今回の資産売却で得る資金のうち70億ドルを増配の形で株主に還元し、残りは債務圧縮に充てる。今後は米国での石油、ガス生産が、ほぼ全面的にメキシコ湾の油田に頼ることになる。

上部へスクロール