独フォルクスワーゲン(VW)傘下のスウェーデン商用車大手スカニアは10日、同国の製材最大手SCAと提携し、車両総重量が最大80トンのバッテリー式電気駆動木材運搬トラックを開発したと発表した。スカニアにとり、同種のトラックの電動化はこれが初めて。これまで積載重量が大きさのため不可能とされていた木材輸送車の電動化に成功したことで、同社は自信を深めている。80トンの車両総重量は私道走行時のもので、公道では64トンに制限される。
同トラックは2022年から、SCAがスウェーデン北部ヴェステルボッテン地域のギモネスに持つ集積ターミナルとウメオ近郊のオッボラにある製紙工場間の運搬業務に投入される。SCAは毎年、87の運送会社と提携し、265台のトラックで850万立方メートルの木材を搬送している。同社によると、電気トラックを1台運用するだけで、二酸化炭素(CO2)排出量を年約5万5,000キログラム削減できるという。
スカニアでeモビリティ事業を統括するフレデリック・アラード氏は、「木材輸送車の電動化に成功した今回の例は、車両とバッテリー双方の進歩が急速に進んでいることを示している」と述べた。SCAは、大型の電動車両向けの充電インフラの整備が必要になるとし、積極的な政策出動を政府に求めている。