欧州委員会は17日、日米など5カ国の鉄鋼メーカーが欧州連合(EU)に輸出している方向性電磁鋼板に対する反ダンピング(不当廉売)措置を5年間延長すると発表した。撤廃すると5カ国から安値の製品が流入し、域内の鉄鋼企業に打撃を与えると判断した。
変圧器や電気モーターなどに使われる方向性電磁鋼板は特殊な鉄鋼製品。欧州委は2015年、域内の鉄鋼業界団体である欧州鉄鋼連盟(EUROFER)の要請に応じ、日本と米国、中国、ロシア、韓国製品に反ダンピング措置を発動した。品質に応じて最低輸入価格(1トン当たり1,536~2,043ユーロ)を設け、輸入価格が同価格を下回った場合に21.5~39.0%の関税を課すというものだ。
日本では日本製鉄、JFEスチールなどが対象となっている。EUの反ダンピング措置に反発していた日本鉄鋼連盟は18日、同措置が撤廃されてもEU域内の事業者に損害の存続または再発をもたらさないという主張が退けられ、延長が決定したことに遺憾の意を表明。声明で「決定の詳細を精査し、今後の対応を検討する」と述べた。