独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は14日、ドイツのツヴィッカウ工場にパイロットプロジェクトとして整備した使用済み車載充電池を活用した急速充電インフラの稼働を開始した。この急速充電パークが供給するエネルギーの大部分は、量産化前に製造したVWの電気自動車「ID.3」と「ID.4」に搭載していた使用済みバッテリー(96セルモジュール、容量:570kWh)を再利用した「パワー・ストレージ・コンテナ(PSC)」に充電した太陽光エネルギーを使用している。
これまでは、低電圧ネットワークからは最大11kWの交流(AC)充電設備しか整備できなかった。PSCを使用すると、そのような場所にも高出力の「ハイパワーチャージャー(HPC)」を設置することができる。このため、VWでは、住宅地域における急速充電インフラの整備を強化できると見込んでいる。
HPCは通常、強力な中電圧ネットワークから変圧ステーションに接続している。初期投資が大きいほか、充電している時間が1日あたり数時間であっても24時間体制で稼働している課題がある。PSCを使用したHPCは、変圧ステーションの代替手段として低コストで整備できる利点がある。また、電力網に負荷をかけることがなく、車両を充電していない間は電力を蓄電しておくこともできる。
ツヴィッカウ工場に整備した急速充電インフラは、150kWの4つの充電スタンドで構成されている。1つのスタンドを75kWに分割することで、最大8台を同時に充電することができる。ツヴィッカウ工場では、年末までに3つの急速充電パークが稼働する予定。