仏政府、企業に省エネ計画策定を要請

フランスのボルヌ首相は8月29日、パリで開かれた経営者団体「フランス企業運動(MEDEF)」の年次会合で演説し、国内の企業に対して9月中に省エネ計画を策定するよう求めた。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響で、冬に向けて欧州でのエネルギー不足が懸念される中、国内で電力・ガス供給を制限せざるを得なくなった場合、企業が真っ先に打撃を受けることになると警告した。

フランス政府は今後2年間でエネルギー消費量を10%削減する目標を掲げており、各省庁は9月中に省エネ計画を策定することになっている。フランスでは原子力発電の比率が約70%と高く、ロシア産天然ガスへの依存度は比較的低い。また、政府は記録的な高インフレを受けた支援策として、ガス・電力料金の上限設定や燃料価格の割引制度を導入しており、エネルギー価格高騰による家計への影響はある程度抑えられている。ただ、現在は国内の原子炉56基のうち半数以上が点検などで運転を停止しており、冬場に向けてガス不足への懸念が高まっている。

ボルヌ氏は、ロシアから欧州へのガス供給が途絶する恐れは常にあり、フランスにも深刻な影響が及ぶ可能性があると指摘。「全員が責任を果たさなければ最悪の事態を招き、エネルギー使用を制限しなければならない可能性がある。その場合、真っ先に影響を受けるのは企業だ。そうした事態に備えて全ての企業が行動を起こす必要がある」と訴えた。

上部へスクロール