インド鉄鋼大手のタタ製鉄は9月23日、超高速の次世代交通システム「ハイパーループ」を手掛けるオランダのハート・ハイパーループ(Hardt Hyperloop)と、グリーンスチール「Zeremis Carbon Lite」の供給契約を交わしたと発表した。従来品と比較して二酸化炭素(CO2)排出量が30%少ない鋼材をハイパーループに用いることで、ほぼ100%の脱炭素化を達成できるとしている。
ハイパーループは真空近くまで減圧した大口径鋼管内で磁気浮上式旅客・貨物カプセルを時速1,000キロ以上の超高速で運行する交通システム。空気抵抗が少ないことからカプセルを搬送するためのエネルギーが小さくて済むほか、CO2を排出しないため持続可能な交通手段としても注目されている。
タタは2020年から韓国同業のポスコとハイパーループ用専用鋼管の開発で協力している。「Zeremis Carbon Lite」鋼で作られた鋼管は現在、オランダのフローニンゲンにある欧州ハイパーループセンターで実証試験が行われている。同鋼管材の低排出性能は国際的な認証機関DNVの認証を取得している。
タタは2045年までにカーボンニュートラル(炭素中立)を達成することを目指している。