欧州44カ国が参加する「欧州政治共同体(EPC)」の初会合が6日、プラハで開催された。会合にはEU加盟国のほか、欧州連合(EU)加盟を目指すウクライナやバルカン諸国、トルコ、EUを離脱した英国などが参加。欧州の大部分の国の首脳が一堂に会し、安全保障やエネルギー、気候変動などの政策分野について意見交換した。
EPCはロシアによるウクライナへの軍事侵攻を背景に、EU加盟および非加盟国が重要な政策分野で協力するための新たな枠組みとして、フランスのマクロン大統領が創設を提唱した。ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアによる侵攻開始から5日後の2月28日にEUへの加盟申請書に署名し、EUは6月に同国を加盟候補国として認定した。しかし、厳格な加盟基準を満たして加盟を実現するには長い時間がかかるため、EUの枠組みを超えた新たな政治的共同体を創設することで、民主主義などの基本的価値観を共有する欧州の国々が安全保障やエネルギー、インフラ、投資、人の移動といった政策分野で協力し、結束を強化するのが狙いだ。
マクロン氏は記者会見で「当事国が一堂に会し、直接議論できる場があるのは極めて有益だ」と強調。会合ではすべての参加国がロシアを非難し、ウクライナへの支持を表明したと明らかにした。
また、EUのボレル外交安全保障上級代表は今回の会合を「ロシア抜きの新たな秩序を模索する試み」と形容。ロシアを排除することがEPCの目的ではないとしたうえで、プーチン大統領が率いる現在の体制には「席がない」と明言した。
オンラインで会合に参加したゼレンスキー氏は、EPCについて「欧州が平和を取り戻すための強力な機会を手にした」と述べ、戦争終結に向けてウクライナへの一段の支援を呼びかけた。
一方、トルコのエルドアン大統領は、欧州大陸が抱える問題について当事国が共通の解決策を模索する上で有意義な会合だったと評価したうえで、EU加盟を目指す国々にとってEPCが「EUに代わる枠組みであってはならない」と指摘した。
EPCは年2回の首脳会合開催を想定しており、次回会合は23年春にモルドバで開かれる。