欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のカレル・デフフト通商担当委員は26日、ブリュッセルで行われたEUの中国関係会議で世界のパートナーに、レアアース(希土類)の調達先を多様化すべきであると呼びかけた。同声明は、中国のレアアース(希土類)の輸出制限を受けたもので、中国政府によるレアアースの価格政策と、その他の地域でレアアースの鉱山が閉鎖されたことは密接な関係があると指摘。中国に依存する現状から脱却する道を探るべきであると強調した。
EUはこれまでにも、ボーキサイトなどレアアース以外の鉱物について、中国が国内企業を優先し、輸出を制限しているとして、米国などと共同で中国を世界貿易期間(WTO)に提訴した経緯がある。メディア報道によると、EUは米国や日本と共同でレアアースについてもWTOへの提訴を検討しているもようだ。
また、EUなどの経済団体からは11月にソウルで開催される20カ国・地域首脳会合(G20)で中国によるレアアースの輸出制限と今後の対策を議題とするよう求める声も上がっている。
レアアースは携帯電話やレーザー機器、電気自動車のバッテリーなど、ハイテク機器に使用されている。昨年はレアアースの総需要の約97%を中国が供給したとされている。
EU加盟国ではドイツのライナー・ブリューデルレ経済相がWTOに解決策を求めるとともに、今後はレアアースのリサイクルにも重点を置く方針を示している。同国の化学大手BASFでは米国で生産する触媒製品に使用する原料が値上がりしているという。メディア報道によると、電機大手のシーメンスや自動車部品大手のロバート・ボッシュなどでもレアアースの調達が今後、困難になることを懸念しており、ドイツ企業は日本の対策を例に、今後、ベトナムなどにレアアースの調達先を広げることも検討しているという。