独自動車部品大手のロバート・ボッシュは26日、2011月4月に予定していた2.7%の賃上げ(ベースアップ)を2カ月前倒しして2月1日付で実施すると発表した。景気が予想よりも早く回復し、業績が改善しているため。
従業員側は、世界的な経済危機を受けて業績が悪化した際に、賃上げの先送りや労働時間の短縮、ボーナスの減額などを受け入れたことから、経営側は賃上げの前倒しによりその協力に報いる意向だ。
今回の措置は2010年2月に決まった金属業界の賃金協定に基づくもの。同協定では2011年4月の2.7%のベースアップで合意しており、企業は事業環境に応じて2カ月間、前倒しまたは先送りすることができる。
ボッシュではドイツ拠点の従業員、約8万5,000人が今回の措置の対象となる。ボッシュの2010年通期の売上高は前年比約20%増の約460億ユーロに拡大し、黒字を確保できる見通し。2009年は戦後初の赤字を計上していた。
■ ボッシュに追随する動きも
自動車業界ではボッシュの措置に追随する動きも見え始めた。駆動装置部品や車台などを生産するZFフリードリヒスハーフェンはボーナス支払いについて労使が協議している。同社の広報担当者はdpa通信に対し、「2008年と2009年は労働時間の短縮に従業員が柔軟に対応してくれた」とコメント。同社は今年、売上高が前年比で約25%増となり黒字を確保できる見通しという。独自動車大手ダイムラーの事業所委員会(従業員の代表機関)も経営側に賃上げの時期を2カ月前倒しするよう求めている。