米自動車部品大手のジョンソン・コントロールズは欧州で自動車向けのリチウムイオン電池セルの生産能力を強化することを検討している。ハイブリッド車や電気自動車の今後の需要拡大を見込んだ措置で、既存のフランス工場の生産能力を増強するか、新工場を建設する可能性もあるという。同社のバッテリー事業(パワーソリューションズ)を統括するアレックス・モリナローリ氏が19日付の独経済紙『ハンデルスブラット』に明らかにした。
\同氏はセルの生産について、「欧州、北米、アジアでセルを量産するための生産拠点を必要としている」と述べ、欧州では自動車産業が盛んなドイツに新工場を建設する可能性もあると説明した。バッテリーは重量が重いほか、(輸送中の)爆発の危険性にも対応する必要があることなどから、輸送に手間とコストがかかるため、供給先の工場に近いところで生産するのが好ましいとしている。
\同社は2006年1月に仏バッテリー大手のサフトと自動車用二次電池の合弁会社を設立した。同合弁会社を通して仏西部のネルサにリチウムイオン電池工場を運営しているが、ジョンソン・コントロールズは同合弁の解消に向けた手続きを進めている。
\ \■ 独ハノーバー工場でアイドリングストップ機能向け電池を増産
\ \ジョンソン・コントロールズは11日、ドイツのハノーバー工場に約2億ユーロを投資する計画を発表した。主に、アイドリングストップ装置向けのAGM(アブソーブドグラスマット)電池の生産能力増強に充てる。
\アイドリングストップ装置は、信号などで車両が停止するとエンジンが止まり、再発進すると自動的にエンジンが作動するシステム。燃費や二酸化炭素(CO2)を低減する効果があり、需要が拡大している。ジョンソン・コントロールズは2015年に欧州で生産される新車の70%以上、世界全体では約50%の新車に同装置が標準装備されるようになると予想している。
\同社はアイドリングストップ機能向け電池の生産をグループ全体で年1,800万個以上に拡大する計画。ドイツではこのうち2013年から現在の約8倍に相当する1,100万個を生産する計画という。ドイツではハノーバーのほか、ツヴィッカウ工場でも同電池を生産している。
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