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2015/5/22

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アンペア(Ampere)

この記事の要約

独電機大手のシーメンスとノルウェーの造船会社フィエルストランド(Fjellstrand)が共同開発した電動フェリー。今春にノルウェーで運行を開始した。フェリー運航会社ノルレッドがベルゲン北部のフィヨルドで、約6キロメート […]

独電機大手のシーメンスとノルウェーの造船会社フィエルストランド(Fjellstrand)が共同開発した電動フェリー。今春にノルウェーで運行を開始した。フェリー運航会社ノルレッドがベルゲン北部のフィヨルドで、約6キロメートルの区間(Lavik~Oppedal)を一日34便、運航している。また、同地域では水力発電による電力が供給されているため、再生可能エネルギーでフェリーを運航することができる。

アンペアは全長80メートル、幅20メートル。最大で自動車120台、旅客360人を輸送することができる。出力450キロワットの電気モーター2基とリチウムイオン電池(容量1,000キロワット時)を搭載する。6キロメートルの運行にかかる時間は約20分。

往復する区間の発着地点の各港にもリチウムイオン電池設備(容量:260キロワット時)が設置されており、旅客が乗り降りする間の停泊中にこのリチウムリオン電池から電力をフェリーの電池に充電する。

アンペアが運行する地域の電力網は、人口の少ない村に電力を供給するための小規模インフラしか整備されていないため、フェリーが短時間に多量のエネルギーを充電し、電力網に高い負荷がかかると停電する恐れがある。このため、港のリチウムイオン電池にあらかじめ充電しておく対策を取った。電力需要の低い夜間は、電力網からフェリーに直接充電しているという。

また、フェリーには通常、鋼鉄が使用されているが、アンペアは軽量なアルミニウムを使用しているため、約10トンのリチウムイオン電池を搭載しているにもかかわらず、従来のフェリーに比べ総重量は約半分の軽さであるという。

アンペアは、ノルウェー政府が5年前に入札を実施した環境にやさしいフェリーを開発するプロジェクトを通して開発された。アンペアの運行区間では従来、ディーゼルエンジンを搭載したフェリーが運行しており、年間でディーゼル燃料を約100万リットル消費し、二酸化炭素は年2,680トンを排出していたという。

同プロジェクトに参加したシーメンスの技術者は、電動フェリーを経済的に運行できる区間はノルウェーだけでも50区間はある、と説明する。また、将来、充電池の効率がさらに改善し、価格も安くなれば電動フェリーの実用性はさらに高くなる、との見解を示している。

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