独電機大手のシーメンスが開発中の電気自動車用インバーター統合型電気モーター。一つのハウジングの中に電気モーターとインバーターを組み込むことで省スペース、軽量化、コスト削減を実現した。
インバーターは電池からの直流電流を電気モーターで使用するために交流電流に変換する電源回路。高温環境ではパワーエレクトロニクス部品の性能が低下するため、従来は電気モーターとは別に設置し、冷却システムが設けられていた。
シーメンスは電気モーターから発生する熱がインバーターの性能に影響を与えないような、電気モーターとインバーターに共通の冷却システムを開発することによって、電気モーターとインバーターを一つのハウジングに組み込むことを可能にした。
また、SkiNというボンディングワイヤを必要としない半導体チップの接着技術の開発により、半導体チップとボンディングワイヤの電気接点が温度変化に弱い問題を解決した。
電気モーターとインバーターの冷却システムは、インバーターなど熱に弱い部品を最も冷たい状態の冷却水で最初に冷やし、その後の冷却水を電気モーターに流すような仕組みとした。また、電気モーターとインバーターの間に冷却システムを挟むような設計とし、電気モーターの熱がインバーターに直接伝わらないように工夫した。
さらに、電気モーターとインバーターを一つのハウジングに統合することにより、ケーブルを減らすことができ、搭載スペースを6~7リットルほど減らすことができたほか、ケーブルのコストや組み立て工数も削減することができた。
Sivetec MSA 3300は、実験装置ではすでに自動車に搭載した際の典型的な負荷がかかる状態で機能することが確認されたという。